猫の巨大結腸症の症状と原因

猫の慢性便秘は放っておいたら危険!巨大結腸症の症状と予防法について

我が家にやってきたシニア猫さんを動物病院に連れて行き、診断された病名は「巨大結腸症」でした。初めて聞く病気でしたが、わかりやすい病名ですよね。

 

腸が巨大化しちゃった状態、そのまんまです。

 

重症便秘ともよばれるこの病気は猫がかかりやすい疾患のひとつでもあります。その症状と治療法、便秘を重症化させないための予防法を紹介します。

 

 

 

猫が便秘になりやすい理由は?大きな3つの要因

 

猫は犬に比べて便秘になりやすい動物です。その大きな理由は3つあります。

 

猫はもともと水をあまり飲まない

ひとつは現在ペットとして私たち人間と暮らすようになった猫はネコ科の中でイエネコとよばれます。その祖先は中東の砂漠地帯に棲んでいたリビアヤマネコです。

 

そのため、猫は少ない水分でも生きていけるように進化してきたわけです。猫のオシッコってぎゅーっと濃縮された感じのものですよね。ニオイもきつくて。これも、体内から水分を排出しないための体の進化です。

 

それに、猫は体が水分を必要としている状態にも気づきにくいらしいですよ!だからといって必要ないかというと全然そんなことはなくて、腎臓などに負担がかかってしまいます。猫に腎臓病が多いのもこうした事情なのです。

 

猫は毛繕いによって被毛を飲み込みやすい

猫はしょっちゅう毛繕いをしていますね。なんと起きている時間の10~30%も費やしているのだとか!自分のお手入れだけでなく、仲間の毛繕いまでやってあげる世話好きな猫もいるので、さぞかし大量の毛を飲み込んでいることでしょう。

 

通常は飲み込んだ毛は吐き出したり、便と一緒に排出されます。ただ、消化吸収能力が低下したときなどは腸の中にたまって便秘の原因になったりします。長毛種は特に気をつけてあげないといけません。

 

骨盤腔(こつばんくう)が狭い

骨盤腔とは、骨盤で囲まれた空間のことで直腸が通る穴なのですが、それがとても狭いのです。実はライオンやトラといったネコ科の動物はたいてい狭いのだそうで、これは物陰に潜んで獲物を狙うハンターとして必要な進化なのです。

 

骨格の形成上もともと骨盤腔が狭い猫が、何かしらの理由で骨盤が変形したり結腸に便が溜まれば、あっという間に便秘になってしまうのです。

 

 

猫の巨大結腸症の症状は重症化した便秘!

 

結腸とは大腸のうち盲腸と直腸を除いた部分で、大腸のおおかたを占めます。結腸の役割は便の水分を吸収して固さを調整します。ここに便がたまると水分がどんどん吸収されて、固くなって排泄されにくくなってしまいます。いわゆる便秘です。

 

結腸が伸びて便が溜まりやすく出にくくなった状態

 

これが巨大結腸症です。この状態が続くと、結腸の筋肉が伸ばされ蠕動運動もできなくなります。ここまでひどくなると結腸無力症とよばれます。

 

猫にこんな症状が出たら重症便秘の可能性が!

 

人間の中医学では便秘も未病として立派な治療対象です。猫は便秘になりやすいといっても、やっぱり体によくないことには変わりありません。

 

コロッコロの水分の少ないウンチ・・・これも便秘症状のひとつです。便秘が慢性化して重症(巨大結腸症)になると本当に大変です。猫ちゃんにこんな症状があったら要注意です。

 

  • トイレに何度も入るのに排便しない
  • かたい便が少ししか出ない
  • いきむとき大きな声で鳴く
  • お腹を触るとかたい
  • お腹を触られるのを嫌がる
  • 食欲がなくなる
  • 毛艶が悪くなる
  • 3日以上便が出ない

 

いきみ過ぎて嘔吐する子も多いです。トイレの周りに少量の吐いた跡があったら、様子を注意深く見てください。

 

また、何度もいきんで粘膜を傷つけたりして硬いウンチの隙間から粘液状の便が出ることもあります。一見すると下痢の症状と間違えやすいので、これも注意が必要なポイントです。

 

 

悪循環を繰り返して体力を消耗していく

 

巨大結腸症になると、便秘が慢性化するので食欲も低下してきます。ただ、内臓に疾患がなければ、便が出れば食欲は戻ります。戻りすぎるくらい?うちにいた子も、便がある程度出るとものすごい勢いでごはんを食べては足りないとねだっていました。

 

食べる→腸に溜まる→便秘になる→食欲低下→少し出る→食べる

 

これを繰り返していくと、どんどん体力が落ちていきます。免疫力も低下します。だんだん痩せていき、毛もパサパサになっていきます。

 

巨大結腸症の治療は猫にも飼い主にも辛い!

 

この病気じたいですぐに命に関わるわけではありません。シニア猫や他に疾患がある場合は体力を消耗して衰弱して・・・ということもありますが。

 

治療法は大きく分けて内科的治療外科的治療があります。

 

猫の巨大結腸症の内科的治療

 

伸びきってしまった結腸は元に戻りません。なので、内科的な治療はたいてい対症療法です。便をやわらかくする薬・腸の動きを促す薬を服用したり、下剤や浣腸を使ったりします。

 

溜まった便を出してしまえば良いのだから、浣腸が効くのであればOK?と思うかもしれませんが、巨大結腸症ほど重症になると、浣腸はほとんど効果がみられません。

 

それに、耐性ができて効きにくくなるということもあるのです。これは、飲み薬でも同じです。

 

猫にとって負担の大きい摘便

 

便をやわらかくする薬を使っても、蠕動運動を促す薬を使ってもウンチが出ない場合は、肛門から指を入れて便を摘出します。摘便!です。

 

やり方としては、ぬるま湯を注入しながら取り出すわけですが、(グリセリン液を使うところもあるそうです)猫さんにとってかなり辛い施術です。

 

暴れる子の場合は麻酔をかけることもあります。この医療行為は獣医さんの腕によるなぁ、としみじみ思いました。週に一度何年も摘便に通っている猫さんもいると、かかりつけの獣医さんが言ってました。

 

猫の巨大結腸症の外科的治療

 

薬や摘便などは、重症便秘の対症療法ですが、外科手術によって原因を取り除くこともあります。方法は大きく分けてふたつ。

 

  • 拡がった結腸を切除する(結腸切除術)
  • 狭くなった骨盤を広げる(骨盤腔拡大手術)

 

手術なので当然リスクを伴います。麻酔もそうですし体力的なこともあります。とはいっても、便秘で苦しい思いをしている段階で体力も免疫力もがた落ちなのは変わりませんけど。

 

そういった点からも、手術ができる子とそうでない子もいるわけです。我が家にやってきた猫さんは、他の疾患があったので手術は不可能でした。

 

ただ、いったん拡がってしまった結腸は元にもどることはないので、外科手術が可能であれば猫にとって一番楽な結果になることは確かです。

 

 

たかが便秘と軽視しないで!猫を巨大結腸症にしない予防法

 

巨大結腸症と診断されたからといって、ただちに命に関わることではないと先に書きましたが、猫にとって生活の質が落ちることは間違いないことですし、もっと恐ろしいことも起こり得ます。

 

便秘の怖いところは、腸内環境をものすごく悪化させることです。便の中には細菌がたくさんいて、腸内にとどまればとどまるほど増えていきます。

 

その細菌はエンドトキシンという毒を作り出し、それが体内に侵入すると敗血症を起こしたり多臓器不全を起こすなど、深刻な状態になってしまいます。(エンドトキシンショック)

 

猫の巨大結腸症の予防

 

猫はもともと便秘になりやすい動物ではありますが、巨大結腸症になって苦しむ前に飼い主ができることはしてあげたいですね。猫の健康管理で気をつけること、日頃から気をつけるポイントをいくつか紹介します。

 

 

成長期の子猫時代にしっかりした骨格をつくる

子猫から育てる場合は、栄養不足にならないように気をつけましょう。子ねこ用のフードを与えることはもちろん、風邪や下痢を長引かせないよう注意をしたいですね。

 

特に生後2ヶ月くらいになると、母猫からの移行抗体がなくなりますので体調を崩しやすくなります。

 

気持ちよく排便できる環境をつくる

猫はとってもデリケートです。騒がしい場所では用を足すのをためらってしまうこともあります。汚れているときも同じです。

 

特に多頭飼いでは他の子の排泄物があると嫌がる子が多いので、トイレは複数用意しましょう。頭数プラス1と言われますが、どのくらいの頻度でトイレ掃除ができるかで変わってきます。

 

常に清潔にしておくのは基本です。

 

いつでも水分補給できるようにする

水分不足も便を硬くする要因です。水飲み場は複数ヶ所も置いておくようにしましょう。我が家はキッチン・いつも猫が過ごす部屋・リビングまでの通り道に水を置いてあります。

 

猫を肥満にさせないようにする

肥満の猫に便秘が多いと言われています。太った子は運動量が少ないことや、脂肪によってただでさえ狭い骨盤腔がさらに狭くなるなど理由はいくつか考えられます。

 

どちらにしろ、肥満は健康に良くないことは間違いないので、太らせないように食事管理は大切ですね。猫は一度太ってしまうとダイエットは難しいです。

 

室内でも落下事故などに気をつける

完全室内飼いだから事故の心配はないと思っていませんか?たしかに、自動車や自転車にはねられる心配はありませんが、室内でも猫にとって危険なことはあります。

 

パッと思いつくのがベランダからの落下事故ですね。これはかなり危険度は高いです。でも、室内のちょっとした場所から落ちて腰を打つことも大いに考えられます。

 

猫は高い場所から落下してもきれいに着地できることは知られていますが、中途半端な高さでは着地姿勢をとれずに腰を強打してしまうことがあります。

 

猫になるべくストレスを与えない

ストレスは腸の蠕動運動を妨げたり自律神経を乱したりします。猫はあんがいストレスに弱い動物です。特に環境の変化には敏感に反応します。引越しだけでなく、模様替えでもストレスを感じます。

 

私が娘によく言い聞かせている3か条です。

  1. 大きな音を出さない(驚かせない)
  2. キツイにおいをさせない(アロマもNG)
  3. 触り過ぎない(かまいすぎない)
日頃から愛猫の排便チェックをする

猫の排泄物はにおいがかなり強烈です。すぐ片付けてしまいたくなる気持ちもわかります。でも、排尿や排便チェックは健康管理にはかかせません。

 

水分不足でカチカチのウンチは要注意です。猫もスルッと快便が健康な状態です。おかしいな、と感じたら普段の飼育環境を見直しましょう。

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