猫に噛まれたらまずは徹底的に洗い流せ!小さな傷でも危険な理由
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先日、猫に噛まれました。久々にぐっさり穴が開いて血がだら~っと!保護ボランティアをやっている人なら少なからず経験することかもしれませんが、甘くみていると大変なことになります。
この記事では、猫に噛まれた場合注意すべき感染症と、どう処置すれば良いのか紹介します。もしもの場合に備えて、ぜひ頭に入れておいてくださいね。
猫の噛みキズを甘く見てはいけない理由
うちの猫は噛み猫です。すぐガブッと口が出ます。でも皮膚に歯型が付く程度でめったに流血はしません。たまにプスっと穴が開いて血がにじむことはありますけど・・・。
いいんだか悪いんだか分からないけど、今回はそういった甘噛みの延長ではなく、いわゆる本気噛みされてしまったときのおはなしです。
猫に噛まれると犬より感染症になる確率が高い
動物に噛まれて医療機関を受診する人の、70~80%が犬によるものという報告があります。犬といっても超小型犬から大型犬まで体格差があるので、キズの大きさを同じに考えるのはあまり意味がないと思いますが、やっぱり数としては多いですよね。
猫は犬に比べて数としては少ないのですが、なんと!噛まれたキズから感染症を起こす確率は80%と言われています。犬の場合5~20%というので猫に噛まれた場合はどれだけリスクが高いか恐くなります。
猫に噛まれると感染症になりやすい理由
お口の中はバイ菌でいっぱいーこれ、どんな動物のでも、です。当然猫の口の中にもバイ菌がたっくさんいます。でも、噛まれた人の80%もの人が感染症になる理由は猫の牙が原因です。
猫の牙は犬に比べて細くて鋭く尖っています。この牙の形状から、肉に食い込んで傷が深くなりやすく、また深いところに感染してしまうと重症化しやすいのです。
それに、犬の噛みキズよりずっと表面上小さいのでたいしたことがないと思ってしまいがち。実際、表面のキズはすぐ塞がってしまうことが多いのです。
キズがあるんだからちょっとくらい腫れるのは仕方ない?
猫は体が小さいです。大人が噛まれてもその場で命の危険を感じることはほとんどないですよね。グレートデンなど超大型犬に噛まれたら「マズイッ!」と瞬時に思うでしょうけど。
猫にだって、噛まれたらキズができるんだからそりゃあ痛いです。でも、そのときは我慢できる範疇です。その油断が危険!
噛みキズが塞がっても、十中八九感染症を起こします。蜂窩織炎(ほうかしきえん)という、皮膚の深いところで炎症を起こします。悪化すると壊死性蜂窩織炎や壊死性筋膜炎を起こして命の危険を伴うこともあります。
猫に噛まれた場合注意すべき感染症
上記で説明した感染症には複数の菌が関与しています。特に猫はパスツレラ・マルトシーダ、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌が原因菌となりやすいようです。
また、特定の菌によって引き起こされる感染症にも注意が必要です。
パスツレラ菌が原因で感染症を起こします。パスツレラ菌は猫の口内に高い確率で常在しています。症状は、噛まれた場所が30分~2日程度で激しい痛みや赤く腫れて蜂窩織炎を起こします。また最近は皮膚症状だけでなく、風邪に似た呼吸器系の症状が現れることが知られています。
このパスツレラ菌は猫の爪にも存在していることもあるので、引っ掻かれた場合にも注意が必要です。
バルトネラ菌によって引き起こされるバルトネラ症は別名ネコひっかき病とも呼ばれます。ノミを媒介として猫が感染し、感染猫に噛まれたり引っ掻かれたりして人間に感染します。
症状は、受傷後数日後にキズが盛り上がったり水泡ができる、化膿するなどします。2週間経った頃にリンパ節が腫れ、2年ほど続くとか!発熱や頭痛といった症状が出ることもあります。
カプノサイトファーガ属菌は人や猫、犬の口内にある常在菌でいくつかの種類がありますが、カプノサイトファーガ・カニモルサス(C. canimorsus) 、カプノサイトファーガ・カニス(C. canis)及びカプノサイトファーガ・サイノデグミ(C. cynodegmi)の3種類の菌が犬や猫の口内にあります。
その中でカプノサイトファーガ・カニモルサスが保有率が高く、猫の約半数が保有していると報告があります。
カプノサイトファーガ感染症は急激に重症化する場合があります。多くは受傷後2~3日で発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛など起こります。重症化すると命の危険もある恐い感染症です。
今まで紹介した感染症の中では一番馴染があり、またその恐さも実感できるのが破傷風ではないでしょうか?予防注射受けましたものね。
破傷風の症状は筋肉のけいれんです。初期段階では、口が開け難くなり顔面が引きつったような表情になります。進行するとけいれんが全身に及び、激しいけいれん発作を繰り返すようになります。
猫に噛まれたらとにかく洗え!これが後の明暗を分ける!
猫に噛まれたらまず流水でしっかり洗ってください。水道水でかまわないので、水を出しっぱなしにして最低でも5分は洗い流しましょう。
傷口がふさがっていたらこじ開けるくらいの勢いで!お医者さんはあまりおすすめしないかもしれないけど、そのくらい菌を少しでも洗い流すことが大事です。
その後は清潔なガーゼなどで覆って病院へ行きましょう。血が止まっていない場合は強めに圧迫して止血してください。
血がポタッと流れるくらい本気噛みされたら、大げさかな・・・なんて思わないで病院に行くことをおすすめします。
猫に噛まれたら何科を受診するべきか
猫など動物に噛まれたら何科に行けば良いのか迷いますね。外科・整形外科・形成外科・皮膚科が適しています。
えぐられて縫合だけでは修復できないような場合は形成外科、腱や骨まで達している場合は整形外科など傷口の状態によって専門科が必要な場合もあります。
救急外来のある病院でます症状をを見てもらうのも良いです。
猫に噛まれた時の治療は?
受診する時は次のことをしっかり伝えましょう
- 噛まれた時刻
- どの部位をどのくらい
- どのような処置をしたか
- 破傷風のワクチンを打っているか
噛まれたのが飼い猫か野良猫か聞かれるときもあります。
猫に噛まれた場合の治療は、基本的は項菌薬(抗生物質)の投与です。重度の場合は点滴もありますが、通常は経口薬を処方されます。3~7日分出されるようです。
傷口の処置は、消毒して抗生剤入りの軟膏を出されることがほとんどです。化膿して膿がひどく溜まっているときは、切開して搾り出す・・・なんてこともあります。
猫の噛みキズは細くて深いです。だから噛みちぎられた場合を除いて見た目はプスっと穴が開いている感じでなので、傷口を縫合することはほとんどないです。
それに、動物に噛まれた場合など感染症を起こしやすいキズの場合は縫合することで膿が排泄されずに悪化してしまう恐れがあるのでめったに縫わないようです。
処方された薬がなくなる頃(1週間くらい)に再受診と言われると思いますが、それまでの間でも強い痛みがあったりひどく膿んできたりした場合、また発熱等ある場合はすぐ再受診しましょう。
まとめ
今回私が噛まれたのは指の腹で、ぐっさり牙が食い込んだにも関わらず大事にはならずに済みました。過去の経験から、とにかく菌を搾り出せーっ!としつこく流水で洗い流したことも要因だと思います。
最初は穴が開いたくらいのキズでも、洗い流しが十分でないと数日後には傷口の周辺はパンパンに腫れます。手の甲に傷を負ったら手がグローブのように・・・。
そんな状態になったら日常生活にも支障がきたしますし、何より全身症状を引き起こす感染症になったら本当に大変です。特に持病などがあり免疫力の下がっている場合は命取りになります。
あってほしくないのですが、もし万が一猫に噛まれたら徹底的に洗浄・医療機関を受診!覚えておいてくださいね。
