ノミダニだけじゃない!猫のフィラリア症予防薬レボリューションの実力
ツイート里親募集サイトなどに『レボリューション済み』と書かれているのを見たことがありませんか?レボリューションは猫の内外部寄生虫の駆除に使われる薬剤です。動物病院でもよく使われています。
一般的にノミダニの駆虫薬だと思われがちですが、獣医さんで好まれる理由はそれだけではありません。この記事では、レボリューションについて詳しく説明します。
レボリューション製造販売のゾエティスについて
レボリューションを開発販売しているのはゾエティス社です。あまり聞いたことありませんね。実は、有名な製薬会社ファイザーのアニマルヘルス部門として独立したのがゾエティスです。
ファイザーのアニマルヘルス事業は歴史が古く、独立して正式にファイザーアニマルヘルスとなったのは1952年。当初は家畜がメインでしたが、その後スミスクラインビーチャムのアニマルヘルス部門を買収し、コンパニオンアニマル部門を拡充していきました。
その後買収を繰り返して、ゾエティスという名称になったのは2012年です。
レボリューションの発売は本国では1999年、日本での販売開始は2005年です。20年ほど使われている薬剤なのです。
レボリューションが駆除、予防できる内外部寄生虫
レボリューションが承認されている効果は以下です。
- 犬糸状虫(フィラリア)の寄生予防
- ノミ成虫の駆除
- ノミ卵の孵化阻害及び殺幼虫作用によるノミ寄生予防
- ミミヒゼンダニの駆除
- 回虫の駆除
承認はされていませんが、猫の疥癬症にも効果があるということで、治療に使う獣医さんもいます。
レボリューションの有効成分「セラメクチン」について
レボリューションの有効成分はセラメクチンという成分です。マクロライド系駆虫薬でファイザーが開発しました。
セラメクチンの作用機序は、「寄生虫の神経細胞にあるCl-イオンチャネルの受容体に作用し、筋肉を弛緩させる」とゾエティスのサイトに記載があります。
ノミや回虫、ミミヒゼンダニの成虫、フィラリアの幼虫(第3期・第4期幼虫)を麻痺させて、猫の体内外にいられなくするという仕組みです。
哺乳類には健康被害はないといわれています。
獣医さんにレボリューションが人気の理由
レボリューションは比較的獣医さんが好んで使ってきたお薬です。本国で使用されてから20年が経っていることと、生後6週齢の子猫や妊娠・授乳中の猫にも使用できるとされる高い安全性のためです。
また、フィラリアに寄生されている猫に対しても安全性が確認されています。
レボリューションで猫のフィラリア症を予防
レボリューションはノミダニの駆除薬として考えられることが多いと思いますが、獣医さんが推奨する大きな理由にフィラリア症の予防があります。
フィラリア症は犬の病気だと思われがちですが、猫も感染します。フィラリアは成虫が肺や心臓に寄生することで症状が現れます。咳が出たり呼吸がしにくくなったりして、検査の結果診断が下ることがほとんどです。
犬の場合は、予防薬を投与していることが多く、事前検査で判明することもあると思いますが、猫は今のところフィラリア感染について周知されていないのが現実です。
猫のフィラリア症は要注意!
怖いのは、猫がフィラリア症を発症すると重篤なケースが多いということ。死につながることも少なくないのです。
フィラリアの成虫は、細長いソーメンのような形をしています。オスで15cm以上、メスはさらに大きく、30cm近くにもなります。
猫は犬に比べて体が小さいですよね。当然内臓も小さく血管も細いです。成虫に寄生されるとダメージがとても大きいのです。
フィラリアは心臓や肺に寄生すると先述しましたが、猫の場合主に肺です。というのも、猫の心臓はフィラリアの成虫にとって狭すぎるので、肺にもぐりこむそうです。想像しただけで苦しそうです。
成虫に寄生された猫の肺はボロボロになっています。それに、これといった治療ができないことが問題なのです。
犬の場合は、手術で成虫を取り出したり、薬剤を使って駆除する治療法も有効とされていますが、残念なことに猫の場合の治療成績は芳しくありません。
猫のフィラリア症の治療が困難な理由
フィラリアは肺や心臓に寄生するので、仮に成虫を駆虫したとしても自然に体外に出ることはありません。そこが、腸に寄生する回虫や条虫と違って治療を困難にしている大きな理由です。
成虫を駆虫すれば肺や心臓に留まったままに、まだ血管内にいるミクロフィラリア(幼虫)を駆虫すれば血管内で死骸が溜まって詰まってしまう危険性もあります。
外科手術で成虫を取り出したとしても、傷つけられた肺は元に戻らないので、症状が残りますし、そもそも手術に耐えられないという危険性が高いです。
レボリューションの猫のフィラリア症予防の仕組み
このように、猫がフィラリアに感染するということは重大なことです。大切なのは感染させないこと!予防が第一です。
フィラリアの幼虫は感染した犬猫の血液中を移動します。そのときに駆虫して成虫になるのを防ぎます。レボリューションの幼虫駆除率はかなり高いようです。添付説明書を引用しておきます。
犬糸状虫人工感染に関する予防試験
ネコに犬糸状虫の感染幼虫(L3)100匹を皮下接種し、感染30日後に本剤の常用量を単回経皮投与した。投与139日後の部検において虫体は認められず、犬糸状虫の成長阻止効果は100%であった。
L3は第3期幼虫で感染幼虫とも呼ばれ、蚊に吸血されて犬や猫の体内に侵入するときの形態です。
また、成虫に対しては、
ネコの犬糸状虫mfおよび成虫に対する作用
犬糸状虫成虫を人工感染させたネコに、本剤の4倍量を28日間隔で6回経皮投与し、投与196日後の部検をおこなった。死滅成虫数に差はなく、成虫に対しを示さないことが確認された。また、投与28日後の血中mf数は、対照群(生理食塩水)も同様に減少し、本剤のmfに対する作用は判定できなかった。
mfはミクロフィラリアのこと。第1期幼虫(L1)
レボリューションなどの駆虫薬は、猫の体内に入ったばかりの感染幼虫(L3)とL4に働きかけてやっつけるわけです。
レボリューションの猫回虫駆除は成虫に対して100%!?
私が猫の保護ボランティアに携わった当初は、猫のノミダニ駆虫といったらフロントラインでした。スポットオンタイプの駆虫薬は外部寄生虫の駆除だけ・・・。
でも、外から保護した子は高確率で『回虫』が出るんです。感染経路は回虫の卵を食べてしまうことです。感染猫の糞便中に排泄された卵を口にしてしまうこと、そして感染母猫の母乳からも移ります。
そのため、まだ離乳していない幼猫でも感染している可能性が高いです。回虫は媒体となる中間宿主が必要のない直接感染なので、簡単に移ってしまう寄生虫です。
ただ、比較的駆除しやすく、また子猫など体力のない個体以外ではほとんど悪さをしない寄生虫です。子猫の場合は、嘔吐や下痢など引き起こすのでしっかり駆虫しましょう。
レボリューションの回虫の成虫駆除効果は、投与14日目で100%です。
回虫という呼び名は体中をぐるぐる回るからだとか!?通常口から入った卵が腸で成虫になると思いがちですが、回虫の子虫は腸壁を破り肝臓から心臓、肺、気管へ、そして食道から戻って小腸で成虫になります。
感染から成虫になって産卵するまでは約3週間程度です。
ところが、体力のある成猫の場合は肺までは移動しますがその後気管へは上らず、子虫のまま血流に乗って体中に拡散し、休眠状態になります。
赤ちゃん猫への経乳感染は、メス猫が妊娠出産で免疫力が落ちたときに子虫が活動を始めるからなのだそうです。
レボリューションの回虫に対する作用は、腸管内で糞中排泄されたセラメクチンと接触することによって成虫を駆除します。
レボリューションは回虫の駆除もできますが、成虫に対してだけなので1度の投与では万全ではないことは覚えておきましょう。
レボリューションはノミの駆除と予防効果に優れている
ノミ駆除と予防に対してレボリューションは高い効果が期待できます。成虫に対しては、血液中のセラメクチンを吸すること及び毛包や皮脂腺のセラメクチンに接触することによって駆除します。
投与後、かなり早く薬効があらわれ、ノミ成虫の駆除率は48時間後には100%という試験結果が出ています。
また、ノミの卵の孵化阻害と殺幼虫作用が追加され、ノミ寄生の予防効果が高まっています。
猫の耳垢が茶色い!ミミヒゼンダニは侮るべからず
猫が耳を執拗に痒がっていたらミミヒゼンダニが原因かもしれません。耳の中が耳垢でいっぱい、さらに茶褐色~黒っぽい場合は要注意です。
通常はすごく痒がるのですが、稀に症状が出ない子もいるので、耳垢が堆積しているときは獣医さんに診てもらいましょう。
ミミヒゼンダニ症の検査は簡単です。耳鏡による検査や、顕微鏡で耳垢検査をして成虫や卵を発見します。
外から保護した猫は比較的多い症状なのですが、けっこうやっかいです。当の猫がものすごく痒がって気の毒であるのは当然ですが、他にも注意が必要なことがいくつかあります。
まず、繁殖力が強いのであっという間に拡がります。多頭飼いをしている場合は、一気に蔓延してしまう恐れがありますよー。もし、保護した猫にミミヒゼンダニの疑いがあった場合は、先住猫との接触は避けましょう。
感染するととても痒いので、掻き過ぎて外耳道を傷つけて外耳炎になります。それが慢性化するとさらに中耳、内耳へと炎症が広がってしまうこともあります。
また、通常猫のミミヒゼンダニは耳の中だけに留まるのですが、まれに他の場所にも飛んで皮膚炎を起こしてしまうこともあります。
さらに、人間に感染することはありませんが、ダニに咬まれると痒いし皮膚炎の元になる人もいるので注意してください。
ミミヒゼンダニ症の治療は比較的簡単でシンプルです。耳垢をきれいに拭い取り、ミミヒゼンダニに効く駆除剤を使います。レボリューションの有効成分であるセラメクチンもそのひとつです。
レボリューションの副作用
発売から20年経っていて安全性は高いといわれているレボリューションですが、薬剤ですから副作用はあります。添付文書に書かれている副作用はこちらです。
投与後、ときに投与部位に一過性の脱毛が現れることがある
経口的に接種した場合、嘔吐あるいは流涎がみられることがある
強いアレルギー反応や重篤な副作用、死亡に至ったという報告がありますが、因果関係が不明なものや体力のない幼猫、シニア猫に投与した場合もあります。
薬には副作用がつきものです。猫の体調をよくみて、獣医さんの意見を聞いて投与することが望ましいのは言うまでもありません。
特に、投与前にフィラリア感染の有無を検査等で確認することが注意書きにあります。
レボリューションをネット通販で購入する方法
安全性が高いといわれるレボリューションですが、基本的には獣医師の処方が必要な要指示薬です。動物病院でまず診察してもらって投与するのが一番です。
ただ、多頭飼いなどでお財布に厳しいなという場合はネット通販がお得なときもあります。日本では一般販売されていませんが、海外からの輸入サイトであれば購入することも可能です。
今は海外製品の購入は代行するサイトが増えてきて便利になりました。ペットの医薬品を扱っているサイトもいくつかあります。
大体大人用【レボリューション45mg(猫用/2.6~7.5kg)】3ピペット入りで3,500円~4,000円くらいでした。
複数箱購入すれば1箱あたりの単価は安くなります。(輸入代行なので為替によって価格は変動します)
今回は、もう少し安く購入できるサイトを紹介します。
レボリューションが安い!ペットのお薬うさパラさん
この記事を書いている2022/3/13時点でのお値段はこちらです。
- 3ピペット・・・3,051円($25.79)
- 6ピペット・・・5,596円($47.30)
- 9ピペット・・・8,120円($68.63)
為替によって価格は変動するのであくまでも目安とお考えください。
※うさパラで商品を購入するには会員登録が必要です。
ヨーロッパ版レボリューション「ストロングホールド」はさらにお得!
さて、上記でレボリューションを安く購入できる通販サイトを紹介したばかりですが、さらにお得情報があります。
ストロングホールドという駆虫薬があります。これはレボリューションと同じ商品です。ジェネリックとか、類似品というレベルではなく、本当に同じ!
というのも、ストロングホールドはゾエティス社がヨーロッパで販売している、レボリューションと同じ成分・効果の製品です。日本での販売名がレボリューション、EUではストロングホールド・・・というわけです。
パッケージデザインもほぼ同じです。注意点は、こちらの商品↑は1箱6本入りということ。2022/3/13の時点での値段です。
- 1箱(6本)・・・4,851円
- 2箱(12本)・・・8,874円
ストロングホールドの方がレボリューションより値段が安い!特にこだわりがなければ断然こちらをおすすめします。
レボリューション猫用まとめ
ノミの駆虫効果が高いことで猫飼いさんや獣医さんがよく使うレボリューションですが、ノミだけでなく回虫やミミヒゼンダニ、さらにはフィラリア予防まである優れものです。
使用法もスポットオンタイプ(滴下型)なので、薬を飲むのが苦手な猫にも簡単に使えます。生後6週齢から使用可能であることも大きいです。
ただ、安全性は高いと言われていますが、薬剤であるので副作用のリスクはあります。
今回は多頭飼いや連続投与するなどでたくさん必要な場合に、経費を抑えられる通販サイトを紹介しましたが、猫の健康状態を確認して投与する・投与後はよく観察することを守って、異常があればすぐに動物病院で診てもらってください。