猫に炭水化物は必要?不必要?

猫は炭水化物が苦手って本当?市販のキャットフードにどのくらい使われているの?

市販されているキャットフードの多くに炭水化物が使われています。でも、猫は炭水化物が苦手だと聞いたことありませんか?最近はグレインフリーのキャットフードが人気ですね。

 

ただ、グレインフリーのキャットフードとは炭水化物を使っていないフードという意味ではありません。そのことについては別の記事で書きたいと思いますが、今回は猫は炭水化物が本当に苦手なのか?という疑問についての記事です。

 

 

 

炭水化物ってキャットフードにどのくらい入っている?

 

まず、市販されているキャットフードに炭水化物はどのくらい入っているか知ってますか?猫の腸活宣言をしているこのブログでは、さすがに安価過ぎるフードはおすすめしていないので、スーパーでも買えて安心だと思えるピュリナワンと、ヒルズを参照したいと思います。

 

ピュリナワンキャットフード「成猫用ターキー&チキン」原材料

ターキー、、コーングルテンミール、チキンミール、卵、油脂類(牛脂、大豆油)、大豆たんぱく、フィッシュミール、小麦粉、セルロース、大豆外皮、酵母、イヌリン、ポークゼラチン、たんぱく加水分解物、ミネラル類(リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン)、アミノ酸類(リジン、タウリン)、ピロリン酸ナトリウム、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン、C)、酸化防止剤(ミックストコフェロール)

ヒルズのサイエンス・ダイエット「成猫用チキン」原材料

トリ肉(チキン、ターキー)、小麦トウモロコシ、動物性油脂、コーングルテン、、チキンエキス、ビートパルプ、魚油、乳酸、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン、リジン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)

 

このふたつは第一原料(主原料)が動物性タンパク質です。特に疾患がなく健康な猫ちゃんであれば、主原料はこういった動物性タンパク質のキャットフードを選んでほしいです。

 

さて、炭水化物・・・使われています。米・小麦・トウモロコシ。。。ところで、炭水化物について説明します。知ってるよ、という人は読み飛ばして下さいね。

 

 

炭水化物と糖質って同じ?

 

炭水化物はタンパク質、脂肪と並んで三大栄養素と呼ばれます。私たち人間にとってはエネルギー源となる大切な栄養素です。炭水化物はたくさんの種類がありますが、大別すると糖質食物繊維にわけられます。

 

食物繊維は消化酵素では分解できずにエネルギーとなりにくいもの。三大栄養素としての炭水化物は食物繊維を除いた糖質を指します。人でも最近は「糖質制限」という言葉をよく聞かれますね。

 

糖質を理解するとエネルギー代謝が見えてくる

 

糖質を構造の違いからさらに分類されます。

  • 単糖類
  • 二糖類
  • 少糖類
  • 多糖類

少糖類はオリゴ糖とも呼ばれます。こちらの方が馴染がありますね。

 

単糖類はそれ以上小さくならない糖類、二糖類は単糖類が二つくっついた糖、少糖類(オリゴ糖)は単糖類が少数くっついた糖類、分類法によっては二糖類は少糖類に含まれることもあります。

 

多糖類は少糖類より多くの単糖類がくっついたもので、デンプンやグリコーゲン、セルロースなどが多糖類です。セルロースは食物繊維ですね。グリコーゲンは動物の肝臓や筋肉に多く含まれる多糖類です。

 

栄養のことを理解しようとすると頭の中がぐちゃぐちゃになりませんか?その理由のひとつに、ある物質について違う言葉で説明されているからだと思うのです。これって私だけ?例えばグルコースはブドウ糖のことです。で、まとめてみました。

 

単糖類 二糖類
グルコース  → ブドウ糖 スクロース → ショ糖
フルクトース → 果 糖 ラクトース → 乳 糖
ガラクトース → 脳 糖 マルトース → 麦芽糖

 

もうちょっとがんばってこちらも覚えると面白いです。

スクロース(ショ糖)=グルコース  + フルクトース
ラクトース(乳糖) =ガラクトース + グルコース
マルトース(麦芽糖)=グルコース  + グルコース

 

栄養学的に重要なのはデンプンとグリコーゲン、スクロース(ショ糖)です。ショ糖は砂糖の主成分で、猫には必要ないものなので省きます。

 

グリコーゲンは代謝のところで詳しく説明します。結論として、猫の食べ物の消化吸収で重要なのはデンプンといえます。デンプンは穀物や芋類、豆類に多く含まれます。

 

 

キャットフードの炭水化物量は?

 

キャットフードには保証成分値という表示があります。例えば、先に原材料を紹介した『ピュリナワン成猫チキン』はこちら。

 

たんぱく質 33%以上,脂質13%以上,粗繊維2%以下,灰分8.5%以下,水分12%以下

 

通常の表記には炭水化物や糖質の記載がありません。これは、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」に表示に関して規定があるのですが、炭水化物については記載がないからです。

(6) 成分の表示
成分の表示は重量百分比とし、次のとおり記載するものとする。
粗たん白質・・・ %以上
粗脂肪・・・・・ %以上
粗繊維・・・・・ %以下
粗灰分・・・・・ %以下
水分 ・・・・・ %以下
(ペットフードの表示に関する公正競争規約より)

メーカーによっては炭水化物も表示しているところがあります。ヒルズは表記しています。

 

大まかな数字ですが、ここからキャットフードの炭水化物量が割り出すことができます。

 

炭水化物(%)=100-タンパク質-脂肪-灰分-水分

 

さらに食物繊維を引いた数字がおおよその糖質の割合です

 

 

猫は炭水化物が苦手といわれる二つの理由とは?

 

猫は完全肉食動物だから、キャットフードだってタンパク質が多いのが当たり前だよ・・・と思っている方、では実際の数字をみてみましょう。

 

上記の計算から、ピュリナワン成猫用チキンの炭水化物量(糖質)を割り出してみます。

 

100(%)ー33-13-2-8.5-12=31.5(%)

 

案外多いと思いませんか?

 

猫の唾液には糖質分解酵素のアミラーゼがない

 

炭水化物をエネルギーとして活用するには、きちんと消化吸収できるかが大きな問題です。「お米は甘くなるまでよく噛みなさい」と言われたことありませんか?

 

人間の場合、エネルギー源としての糖質の主役ともいえるデンプンは、まず唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素で分解されます。次に胃から十二指腸へ送られると、膵臓からの膵液によってマルトース(麦芽糖)に分解されます。膵液にもアミラーゼが含まれています

 

麦芽糖は二糖類ですね。多糖類であるデンプンがここまでで二糖類にまで分解されます。そして小腸でマルターゼという消化酵素によってグルコース(ブドウ糖)に分解されます。ここでやっと体に吸収できる単糖類になります。

 

猫が炭水化物が苦手だといわれる理由その1です。猫はアミラーゼの分泌が少ないのです。

  • 猫の唾液にはアミラーゼがない
  • 膵臓から分泌されるアミラーゼもすごく少ない(犬の5%程度)

このことから、猫は糖質(デンプン)を消化する能力が低いといわれるのです。

 

 

猫は糖質の代謝に欠かせない酵素グルコキナーゼが少ない

 

もうひとつ、代謝の問題があります。人間においても、炭水化物はエネルギー源として活用されます。猫は炭水化物をエネルギーとして活用できているのか?できないとすれば体に負担がかかるだけでは?

 

ここで猫に炭水化物は不必要という意見が出てきます。

 

肝臓の糖質代謝のはたらきに欠かせないのがグルコキナーゼという酵素です。猫はこのグルコキナーゼがヒトや犬に比べると極端に少ないのです。

 

小腸から吸収されたグルコース(ブドウ糖)は、門脈を通って肝臓に運ばれます。グルコースは肝臓でグリコーゲンとなって貯蔵されて、必要に応じてグリコーゲンからグルコース(ブドウ糖)が作られ血液中に放出されてエネルギーとして活用されます。

 

このとき働く酵素がグルコキナーゼです。うん、確かにこの酵素がわずかしかないと、エネルギーとして活用できるグルコースも少ないのでは?と思ってしまいますね。

 

ところが!炭水化物をエネルギーとして活用するもうひとつの方法があるのです。

 

猫の糖質代謝はヘキソキナーゼが主役!

 

糖質を代謝する酵素はグルコキナーゼだけではありません。ヘキソキナーゼという酵素も糖質代謝をする酵素です。実のところ、グルコキナーゼはヘキソキナーゼのひとつで別名をヘキソキナーゼⅣといいます。

 

グルコキナーゼは主に肝臓で働くのに対して、ヘキソキナーゼは体中の細胞に存在して働きます。さらに、グルコキナーゼはヘキソキナーゼに比べて活性が低いので、血糖値が高いときにだけ働きます。普段はヘキソキナーゼが働いているわけです。

 

つまり、猫はたしかに肝臓でのグルコキナーゼの分泌が少ないけれど、ヘキソキナーゼによって代謝が行われており、炭水化物を十分活用できているというわけです

 

キャットフードの炭水化物量はどのくらいまで大丈夫?

 

猫は炭水化物を活用できるのは確かでしょう。自然界でもネズミの胃の中に残っている炭水化物を、微量とはいえ食してきています。

 

それに、人間の近くに住むようになって、自然と炭水化物を口にすることが多くなっていたのは事実です。少し前の日本では、お米に味噌汁をかけた「ねこまんま」を餌として猫に与えていたことを考えても、それだけで生きてはいけなくても、毒にはなっていないことは想像がつきます。

 

だからといって、炭水化物ばかりの食事では猫の健康を害します。糖質を消化するのが人間などの雑食動物や牛などの草食動物よりずっと苦手なのですから。

 

どのくらいまでの炭水化物であれば大丈夫か?ということに対して、明確に書いてある情報はありませんでしたが、おおかたの目安として健康な猫であれば35%~40%程度であれば十分活用できるようです

 

ドライフードの成形にはデンプンが必要

 

メーカーがキャットフード、主にドライフードに炭水化物を使う目的はもうひとつあるようです。それは糖質であるデンプンの糊化(α化)という性質を利用するためです。

 

ドライフードの一般的な製造工程は、
原材料の混合→押出成形前の準備→押出成形→乾燥→冷却→サプリメントの塗布
といった流れで行われます。

 

押出成形では加熱・加圧・成型が行われますが、加熱することによってデンプンが糊化します。糊化はつなぎの役割をしています。

 

また、それだけではなく、糊化は消化吸収力を高めます。お米を炊くのも、消化吸収しやすいように糊化させているのです。

 

 

猫と炭水化物まとめ

 

猫は体内に入ったグリコーゲン(ブドウ糖)を、ヘキソキナーゼという酵素を使って代謝しています。炭水化物の糖質をエネルギーとして十分活用できるのですね。

 

ただ、消化能力は人間や犬ほど得意ではありません。摂取する量には注意が必要ですが、食物繊維は猫の腸内環境を良くするために必要です。

 

猫はタンパク質や脂肪からエネルギーを得ることが自然です。糖質はエネルギー源としてはそれほど重要ではないと考えられますが、まったく不必要というわけでもなさそうです。適度に摂取することが望ましいといえます。

 

まず、現在猫ちゃんが食べている炭水化物の量を調べてみてはいかがでしょう?

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