キャットフードにプラスα!?ミックスフィーディングと猫の健康について
ツイート毎年ペットフード協会が全国犬猫飼育実態調査を行っています。現在の飼育数や飼育頭数の推計をはじめ、平均寿命、飼育形態をまとめたものです。
その中に、犬猫の食事に関する調査もあって、どんなフードを与えているか・市販のフードの購入実態など、多くの人がどのように猫に食事を与えているかが垣間見ることができます。
予想通り、犬猫ともに市販のドライタイプを主食としている場合が多いという結果でした。これを踏まえ、現代の猫にとってよりよい食事とは何なのか考えてみたいと思います。
ウェットフードが登場した背景
最近、猫の食事に関してミックスフィーディングという言葉を耳にしませんか?
ピュリナワンで有名なネスレでも宣伝してます。
ミックスフィーディングとは?
猫の食事においてのミックスフィーディングとは、ドライフードとウェットフードを併用して与える食事方法です。広義には、ウェットフードだけでなく、さまざまな食材をローテーションさせることです。
ミックスフィーディングのメリット
猫の寿命は昔に比べるととても伸びています。私が子供の頃は10歳なんていうと「長生きねー」という感じでした。今は平均寿命は15歳を超えていますね。ご長寿猫さんといわれる子は18歳、19歳、20歳超えの子も珍しくない?
室内飼いで事故や感染症のリスクが減ったこともあると思いますし、医療の発展、そしてキャットフードの開発と浸透が大きな要因であることは確かです。
猫の健康を維持するために必要な栄養素をバランス良く配合された総合栄養食は、飼い主にとって強い味方であることは疑いの余地がありません。
ただ、現在のドライフード推奨の風潮はどうなんだろう?と何匹かの愛猫を看取ってきた身としては疑問があるのも真実なのです。
キャットフード販売で高いシェアを誇るネスレ社のピュリナワンからも、ウェットタイプの総合栄養食が販売されました。まさにミックスフィーディングのすすめです。
ピュリナワンでは、ミックスフィーディングのメリットとして以下をあげています。
- 水分摂取量が増える
- 満腹が得られる
- 味と食感のバラエティを楽しめ、嗜好性が高い
1はまさに多くの猫飼いさんたちが頭を悩ませている猫に水を~っ!という問題です。とにかく猫に水を飲ませるのは大変ですから。食事で水分を摂れるのは最大のメリットです。
ウェットフードは水分含有量が多いので、それだけ満腹感が得られます。カロリーもドライに比べて低いので、上手に食べさせれば体重管理(ダイエット)もしやすいのです。
猫だって食を楽しみます。狩りをする必要もなく飼い主がごはんを提供している飼い猫であれば、生きるために食べるという切実なもののちょっと斜め上って感じで、嗜好性も大切です。
そんな猫たちは、バラエティに富んだ味や食感を求める傾向があると言いますよ。
ミックスフィーディングでより自然に近い食事を
猫本来の食事とは何でしょう?その答えはたいていの人が思いつくとおり「ネズミや小鳥、カエルなの自分で捕らえることのできる小動物」です。
--でも現在は栄養バランスの良いキャットフードがあるのだから安心だ--
そう思いますか?重要なのは、ほんの少し前まで猫はネズミなど小動物を餌としていたという事実です。
これほどキャットフードが普及したのは平成から?
私が子供の頃は、猫を飼っていると言っても完全室内飼いではなく、猫達は外に自由に出ていました。与えていたご飯はと言うと、いわゆる「ねこまんま」でした。白飯に味噌汁をかけたものにほんの少しの魚やかつおぶしをかけたもの。
でも、猫はきちんと大人になっていきましたし子供も産んでいました。必要なたんぱく質は狩りでまかなっていたのです。
昭和の終わり頃になると、猫飼いさんも近隣への配慮や交通事故の危惧、マンション済みなど住宅事情もあって室内飼いをする人が増えました。
また、猫の最良の餌であるネズミの数が激減したことも大きいです。殺鼠剤の登場により、猫に頼らなくても大量にネズミを大事することが可能になったのですから。
猫の本能として、小動物と出くわしたらハンターとしての血が騒ぎます。でも、いくら優秀なハンターと言っても百発百中ではないし、空振りも多い。
その頃キャットフードもスーパーの店頭に並ぶようになり飼い主さんの意識も変わってきていたので、ねこまんまではなく、猫の好みそうな匂いのするキャットフードを用意してあります。
猫も、家に帰ればごはんが待っているので必死になって獲物を仕留める必要がありません。こうして必要な栄養源を人間の作ったキャットフードでまかなう猫が増えたのだと思うのです。
忘れちゃいけない猫の水飲み事情と腎臓病
このサイトの別記事でも何度か書いている通り、猫は水をあまり飲まない生き物です。飲み方も下手!猫の水の飲み方は、まず水面に舌を差し込んでサッと上げ、そのときにできた水柱をパクッとくわえるように口に含みます。
飲んでいるというより食べている・・・ってかんじです。だから1回に飲める量はとても少なく、0.14ml程度。猫の祖先は砂漠で暮らすリビアヤマネコなので、元来水をたくさん飲む環境にはなく、習慣もなかったからです。
だから、現在私たちと暮らす猫たちも水はそれほど飲まない。そのせいで腎臓にものすごく負荷がかかり、将来的に腎臓病になる猫が多いのです。15歳以上の猫の約半数が腎臓病だと言われるほどです。
猫の腎臓病予防には、水分摂取量を増やすことが近道です。無理に水を飲ませる訳にはいかないので、食事をウェットフードに変える方法が簡単です。
シニア期になったらウェットフードに切り替えることが理想ですが、それ以前からドライとウェットを併用しておくと安心です。腎臓機能は長い時間をかけて徐々に失われていくものですしね。
ウェットフードの総合栄養食の現状
スーパーやドラッグストア、ホームセンターのペットコーナーにはたくさんのウェットフードが並んでいます。昔ながらの猫缶をはじめ、パウチやプラスチックのトレータイプなど、形状もいくつかあります。
水分摂取が目的であれば、どのフードでもかまわないですが、気になるのは栄養面です。ウェットフードは総合栄養食と一般食があります。
キャットフードの一般食の与え方
一般食は総合栄養食と混ぜて与えることを基本として作られています。パッケージにも『総合栄養食と一緒に与えてください』と書いてあります。
使い方としては、猫がドライフードに飽きてしまったときなどにトッピングとして使ったり、病後に食欲が落ちているときの回復期の軽い食事用などがあります。
一般食は普段のメインフードには適さないので、購入時には総合栄養食なのか一般食なのかはしっかり確認しましょう。たまにトッピングとして使用する分には大丈夫です。
ウェットフードの総合栄養食はどう選ぶ?
ウェットフードもドライフード同様、原材料や値段ま千差万別です。ただ、一般的に食事の全てを総合栄養食のウェットフードだけにすると、ドライフードより値段が高くなることが多いです。
それに、ウェットフードにおいても原材料や添加されている原料、生産国など、ドライフードと同じように慎重に選ぶ必要があります。
もしかしたら、ドライフード以上に猫に合う合わないがあるかもしれません。我が愛猫の1匹は、ある特定の銘柄のウェットフードが合いません。どうも、とろみ付けに使っている添加物が合わないようです。
どんなウェットフードを選んでよいか分からない場合は、現在食べているドライフードと同じメーカーのものから始めてみるのもいいでしょう。同じラインナップの製品であれば給餌量の目安も提示されていることが多いです。
現在我が家は、先に紹介したネスレのピュリナワンのドライ&ウェットの組み合わせと、ニュートロのラインナップのドライ&ウェットをローテーションしています。種類も多いので、お気に入りの味も見つけやすいし、飽きっぽい猫さんにはもってこいです。
トッピングに手作り猫ごはんという方法も!?
猫は水をあまり飲まない生き物だと再三言っておりますが、もうひとつ重要なこと。猫って水だけをゴクゴク飲んでも、人間ほど効率よく吸収できないのでは?と疑問を呈する研究者もいます。
私も個人的には、やはり食事と一緒に水分を摂取するのが自然なのだと感じています。
別にドライフードをふやかしても、ウェットフードを使っても良いのですが、手作りごはんをトッピングにする方法もおすすめです。
現在は猫の手作りご飯の書籍も多く出版されていますし、ネットでもレシピを公開していることもあります。全部手作りとなると敷居が高くても、総合栄養食のドライフードやウェットフードをメインに、栄養・水分たっぷりの手作りごはんを足しても良いわけです。
ただ、猫が食べてはいけない食材などはありますから、実践する場合はまず専門家の書いた書籍を1冊購入して、飼い主さんが知識を得ることは必要になります。
私も持っている手作りご飯の一部を紹介しますね。
キャットフードにプラスするトッピングごはんに特化した内容の本です。人気商品なのか、定価より高値で販売していることが多いので、安く購入できればかなりおすすめの1冊です。
こちらはトッピングではなくて完全手作り猫ごはんに対応した書籍です。日々の食事だけでなく、便秘のとき・おなかを壊したとき・太り気味のときなどのレシピもあって重宝しています。
もう少し猫の栄養について専門的な勉強がしたいとおもったらこちらがおすすめです。お値段もちょっとはりますけど。
まとめ
猫の寿命がこれほど延びたのは、栄養学に基づいたキャットフードの普及が大きな役割を果たしてきました。シニア猫さんと呼ばれる年齢の子もとても多くなりましたね。
それに伴い、腎臓病やガンなど高齢になったゆえにかかる病気の猫と暮らすことも増えています。特に猫の宿命ともいえる腎臓疾患は、シニアの半数以上が患っているという現実。
今、ペットフード業界でもドライフード一辺倒でなく、ウェットフードと併用することを推奨する流れに変わりつつあります。
これからは、健康寿命をいかに長くするかが愛しい猫と暮らすテーマになることは間違いないでしょう。健康は日々の食事から。飼い主としては賢い選択をしたいですね。