猫が吐く原因と病気のサインの嘔吐

猫が吐くのは普通なの?病気が原因の嘔吐の見分け方のポイント

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猫はよく吐くと思われていますね。体の構造上、たしかに私たち人間より「吐きやすい」し、習性も関係しています。

 

でも、吐くのが普通・よくあることだと思い込むのはちょっと危険!病気が原因の嘔吐もありますから。それに、病気以外が原因であっても、吐く行為は猫の体に負担であることには変わりありません。

 

猫はなぜ吐くのか?様子見をしていい嘔吐と受診が必要な場合、緊急性のある場合を詳しく紹介します。

 

 

 

猫が吐くのが当たり前?勘違いされる理由

 

猫が吐くのは普通なの?病気が原因の嘔吐の見分け方のポイント

猫は毛玉を吐くのが普通・・・あんがい多くの人がそう思い込んでいます。あれだけ念入りに毛繕いしているんだから、さぞ大量の毛を飲み込んでいるだろう。

 

確かにそうです。ただ、通常猫は飲み込んだ毛は便と一緒に排出します。そうじゃないと、それこそ四六時中ゲェゲェしているはずです。想像したくないですねぇ。

 

でも、猫飼いさんであれば少なからず猫の吐いたブツに毛が混じっていたり、けっこうな固まりになっているのを目にしたことがあるはず。

 

吐いた後はケロッとしていることが多いのも猫という生き物なのです。

 

吐きやすいのは猫の体の構造が原因?

 

猫は体の構造上吐き戻しをしやすいです。もうこれは一目瞭然ですね。直立歩行をする人間は口→食道→胃と縦に下りていきますが、猫は食道が地面と平行です

 

猫が吐くのは普通なの?病気が原因の嘔吐の見分け方のポイント

これはほとんどの動物が四足歩行なのであたりまえ?でも、身近な犬と比較しても猫は吐きやすい原因があるのです。それは食道の内部の違いです。

 

食道は口から入った食べ物を胃に送るまでの消化器官ですね。蠕動運動によって胃まで運びます。これは人間でも犬でも同じです。

 

いくら直立姿勢で食べ物を飲み込む人間だって、ストーンと胃まで落ちるわけじゃあないですからねぇ。だったら怖い・・・。

 

犬と猫は食道のつくりがちがう!?

 

犬の食道はすべてが横紋筋でできています。対して猫は口から三分の二は横紋筋で、胃に近い残り三分の一は平滑筋という筋肉でできています。

 

横紋筋と平滑筋の違いは組織構造の違いです。顕微鏡で見ると、横紋筋は縞模様が見られ、滑らかに見えるのか平滑筋です。

 

どちらも収縮を繰り返して食べたものを移動させますが、規則正しく並んだ横紋筋は食べ物をスムーズに胃に運ぶことができますが、平滑筋はモタモタしてしまいます。

 

要するに、猫の方が犬より食べたものが食道に留まっている時間が長いのです。通常食べたものが食道を通過して胃まで到達するのに、犬は4~5秒、猫は9~12秒だそうですよ。

 

猫は胃が小さい

 

本来猫はねずみなど小動物を1日に何度も狩って食べます。単独で狩りをする習性からそうなっているのでしょうね。そのため、後述しますがフードを食べ過ぎて吐き戻すことも多いのです。

 

猫の吐くは嘔吐と吐出がある

 

さて、ひとことで「猫が吐く」といっても嘔吐吐出に区別されます。

  • 嘔吐―食べたものや飲んだものが胃や腸、または両方から排出されること
  • 吐出―食べたものや飲んだものが胃に入る前に排出されること

 

猫の嘔吐と吐出の違いはどう見分ける?

 

 

嘔吐は、一旦食べ物が胃の中に入ってから排出されるので、ある程度消化されている場合が多いです。もちろん、胃に入ってすぐに吐き戻されることもあるので絶対ではありません。

 

吐いたものに胃酸や胆汁(十二指腸からの逆流の場合)が含まれているときは嘔吐です。

 

一方、吐出は胃に到達する前に排出されるので、胃酸は含まれていません。たいていは食べ物は未消化の状態で排出されます。

 

吐くときのしぐさでもある程度予想はつきます。見たことがある飼い主さんも多いと思いますが、嘔吐の場合は胃の辺りを数回動かすような動作をしてから吐きます。

 

吐出の場合は、前段階の動作もなくいきなり吐き出すことが多いです。

 

 

病気以外で猫が吐く理由は?内容物チェック

 

嘔吐にしろ吐出にしろ、吐くことは猫の体に負担がかかるし、病気が原因で吐くことも多いです。ただ、一過性のものであったり、飼い主が気をつけることで原因を取り除くことができるものもあります。

 

経過観察(様子見)で良い場合の猫の嘔吐と吐出

 

吐くのが1回(一度で吐ききれなくて2~3回に分かれている場合も含む)で、吐いた後ケロッとしていればすぐに病院に行くほど急を要するものではないでしょう。

 

例えば、吐いた後もすぐに食事をしたり毛繕いをしてくつろいでいるなどです。

 

 

また、吐いた内容物が未消化のフードだったりネコ草、毛玉、胃液の場合も様子見で大丈夫ですが、少しして様子が変わることもあるのでしっかり観察してください。

 

『様子見=放っておいても大丈夫』ではないですよ!

 

また、日をおいて何度も同じ様子が見られるようなら、獣医さんに相談しましょう。

 

病気以外で猫が吐く原因と対策

 

猫が病気以外で吐く原因で多いことと、その予防についてです。吐いた内容物別に対策を紹介します。飼い主さんが気をつけることによって回避できることはあんがい多いですよ。

 

フードや胃液

 

猫は本来少しずつ食事を摂る動物です。現在人間と暮らす猫たちは、食事は1日に2回、朝夕にあげれば大丈夫・・・なんて言われていますが、これって人間の都合に合わせた意見です。

 

胃液を吐くのは大半が空腹が原因です。また、フードを食べ始めて吐き戻してしまう子が多いのも、一度の大量を食べる食習慣が合わないといえます。

 

対策―1日分を与える回数を増やす

 

 

 

一気食いをしてしまう猫もいます。保護猫で飢えた経験がある子は、保護してからもしばらくその傾向が残ります。ただ、いつまで経っても早食い・一気食いがなおらない子もいるのは事実ですよね。そんな場合の対策です。

 

対策―早食い防止用のフード皿を使う・フードを小分けにして複数ヶ所に置いておく(お留守番の長い猫におすすめ)

 

また、食道が生まれつき狭かったり何かしらの疾患によって狭くなった場合も、吐きやすくなります。うちの猫もそういう子がいました。

 

対策―フード皿を高い位置に置いて2本足で立って食べさせる

 

重力の力を借りるというわけです。

 

毛玉

 

これはもう、抜け毛対策です。さらに飲み込んでしまった毛に対しては専用のケア商品を使うのも良いです。

 

対策―こまめなブラッシング・毛玉ケアフードに変える・毛玉除去剤を使う

 

ネコ草

 

猫が吐くのは普通なの?病気が原因の嘔吐の見分け方のポイント

ネコ草は特に必要なものではありません。猫によってはすごく好きな子もいますよね。愛猫のお嬢さんは、ネコ草の鉢に頭を突っ込んで、止めるまでバクバク食べていました。これ、危険!

 

対策―与えるときは数本を差し出してあげる・与えない

 

ボタン・輪ゴムなど異物

 

とにかく猫の口に入りそうな小さなものは片付けましょう。専用のおもちゃでもあっても安心できません。おもちゃは引き出しなどにしまって、遊ぶときに取り出すようにしたほうが無難です。

 

対策―誤まって飲み込んでしまいそうなものは徹底して片付ける

 

 

猫はこんな病気でも嘔吐する!緊急性チェック

 

さて、ではどんな嘔吐や吐出のときは緊急を要するのか?吐いたものと吐いた後の猫の様子からチェックしてみましょう。

 

 

吐いた後の猫の様子がおかしいときはすぐ受診!

 

  • 瞬膜が出たままぐったりしている
  • 下痢や血便を伴う
  • 食欲がない
  • 1日に4回以上激しく吐く
  • 触ろうとすると嫌がる

 

猫は具合の悪いときは物陰に隠れて出てこなくなることがあります。吐いた後は注意深く様子をみましょう。

 

猫がこんなもの吐いたら即受診!

 

  • 血が混じっている
  • 異物が混じっている
  • 吐いたものが異臭がする
  • きしめんのようなものを吐いた

 

何度も吐くと体力を消耗するし脱水症状を起こしてしまいます。また、異物が混じっているときは、食道を傷つけている可能性もあるし、まだ体内に残っているかもしれません。

 

においも大事です。危険なものを飲んでしまったことも考えられますし、小腸まで進んだものが逆流した場合は便臭がします。これも病気の可能性が大です。

 

きしめんのような・・・寄生虫を吐くこともあります。多いのは回虫や条虫です。駆虫薬で退治できますので、動物病院へ連れて行きましょう。

 

動物病院に行くときは、猫の吐いたものを持っていくようにしましょう。吐いた量が分かるように全体を写した画像を撮って獣医さんに見せることも役に立ちます。

 

猫の嘔吐の原因は消化器官の病気だけじゃない

 

猫が吐くと胃腸の病気?と思いますよね。確かに胃腸炎や肝炎、消化管の腫瘍などが原因で吐くことが多いです。しかし、実際の動物医療の現場ではそれ以外の原因のことが多いのだとか!

 

一番多いのは『誤食』だそうです。うーん、飼い主としては気をつけないといけませんね。長毛の猫は大量の毛玉が胃に溜まっていることも。ひどくなると開腹手術で取り出すことになります。

 

外から保護された猫の場合は寄生虫も多いです。きしめんをベェ、ってする前に検便で見つけて駆虫しましょうね。

 

シニアの猫に多いのが甲状腺機能亢進症という病気ですが、症状が進むと下痢や嘔吐といった症状があらわれます。10歳以上の猫に発症しやすく、食欲も増して元気そうに見えるのが特徴です。

 

猫が吐くのは普通なの?病気が原因の嘔吐の見分け方のポイント

 

こんな原因でも嘔吐します。

  • 食物アレルギー
  • 中毒
  • 便秘
  • 尿毒症
  • 膵炎
  • 悪性リンパ腫(大量の血液を吐くことも)
  • ストレス

 

猫の『吐く』まとめ

 

猫はよく吐く生き物だと思っている飼い主さんも多いです。実際、特に病気でもないのにフードを勢いよく食べては吐き、毛玉を吐き、ネコ草を吐き・・・我が家にもいました。

 

しかし、『吐く』という行為は猫の体に負担がかかることは確かです。吐き癖がつくと、胃腸が荒れて本当の病気になってしまうこともあります。

 

猫が吐いたら、その後の様子や内容物をよく観察して、少しでも心配だと思ったら病院へ行きましょう。緊急性がなくても、何度も繰り返したり「よく吐くなぁ」と感じていれば、一度獣医さんに相談しましょう。

 

吐く原因が生理現象やストレスだとしたら、吐かないための工夫をしてくださいね。

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